臨床工学科

概要

臨床工学科は2020年4月時点において臨床工学技士20名(男性16名、女性4名)、平均年齢29歳と比較的若い人員で構成されています。7階のスタッフルームおよび2階の医療機器管理室を起点に他部署と連携を図りながら様々な業務に従事しています。
臨床工学技士の業務は時代の背景によりジェネラリストが求められる時代とスペシャリストが求められる時代とを交互に経過してきたように思います。当科ではジェネラリストを基本にしながらも最終的にスペシャリストを目指す環境と教育を心掛けています。

特徴

当院の臨床工学技士業務は多岐にわたっています。各業務担当者を設けてはいますが情報集約や業務計画の立案と実行への牽引役として存在しています。各業務遂行は担当者を特定せずに、各個人の技量を考慮しながら日替わりのローテーションで遂行しています。
それらを実行するために新人教育をプログラム化しており、1年3ヶ月で人工透析業務・内視鏡業務・高気圧酸素療法業務・病棟ラウンド業務・ME機器管理業務・特殊血液浄化業務等の基礎業務を習得することを目標としています。その後に当直業務や専門性の高い業務を希望と適性を考慮して習得させています。
さらに「進歩なしはマイナスと同じである」との銘のもとに臨床工学科も様々な課題に取り組んでいます。現在の業務課題は「ICUおよび手術室業務の参画」「医療安全の面から問題視されているモニターアラームに対するMACT(モニターアラームコントロールチーム)の設立」「呼吸療法への参画」などが挙げられます。さらに活躍の場を広げ、臨床工学技士の地位向上を目指しています。

CEスタッフルーム

医療機器管理室

新人教育プログラム

各業務においての教育チェックリストを作成しており、先輩によってすべてにチェックが入ると該当業務の独り立ちと判断します。チェックシートを採用することで「自分は何ができていないのか?何を習得すべきなのか?」が判断でき、向上意欲が途切れないように心がけています。
これらの一般業務がすべて対応可能となると、各個人が希望した専門業務に携わります。当科ではチーム制を導入しており、各業務チーム一員として認定士などの取得をめざします。経験を重ねるごとに第2・第3と複数の専門チームを目指して日々努力しています。

勤務形態

勤務は日勤のほかに準夜勤務、当直勤務、早出勤務、遅出勤務など状況に応じて対応しています。(準夜、当直、早出には手当附与あり)
近年の働き方改革に従って有給休暇を積極的に取得できるよう配慮しており、本年も希望者には5~7連休を附与しています。
徳洲会制度に法り一部の認定士取得により職能手当てが支給されます。

各業務について

人工心肺業務

心臓手術時の人工心肺の操作および ECMOやIABP等の補助循環の操作を24時間、365日体制で対応しています。 その為に他院からの緊急要請も多く、疾患類別では大血管疾患6割に達するのが当院の特徴です。夜間および休日には人工心肺待機者(待機手当を付帯)2名を選定して対応しています。 最新の人工心肺装置(泉工医科工業社製 HASⅢ)を使用し、安全性を重視した体外循環を行っています。

心臓カテーテル業務

冠動脈カテーテル検査および治療時の清潔介助、IVUSやFFRの操作と計測、血行動態監視などを行っています。他院に比して高度な清潔介助操作が求められており、チーム医療の一員として大きな役割を担っています。 心臓カテーテルチームは24時間365日対応を行っており、夜間および休日には待機者2名(待機手当を付帯)を選定して対応しています。
近年はアブレーションによる不整脈治療にも注力しており、さらに広範囲な知識と技術が必要となっています。

血液浄化業務

2020年4月に院内移転し、最大46床のフロアで31床を稼働しています。On-Line HDFやIHDFを積極的に取り入れ、看護師とともに密な患者管理と治療管理を行っています。
透析装置の点検及び消耗品の交換を定期的な計画を立てて実行しており、メンテナンスもメーカーフリーにて対応しています。

ペースメーカ業務

ペースメーカ外来においてアナライザーを用いた不整脈の解析業務を行い、適切で負担の少ない状態へとペースメーカの設定変更を行っています。
またペースメーカ植え込み患者のMRI撮像時および手術時の設定変更にも対応しています。ペースメーカは多くのメーカーが存在し毎年複雑化している中、メーカー別の担当制にすることにより各社のペースメーカに対応可能な状況を維持しています。
近年は遠隔モニタリングを使用した状況確認が盛んになり、積極的に対応しています。

ME機器管理業務

医療機器(人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプなど)の病棟への貸し出しや、返却後の日常点検、病院内を巡回しての使用中点検を行っています。 また主要な医療機器に対しては医療機器安全管理委員会と協同し、定期点検の計画策定と実行を行っています。 メーカー主催のメンテナンス講習会に積極的に参加し、可能な限りの点検及び修理を行い、経費削減を心掛けています。 ME機器の新規購入時の機種選定の助言および購入時の使用説明会、ME機器に関わる定例勉強会の開催も行っています。

内視鏡業務

2016年9月に臨床工学技士業務指針が公開され、さらに活躍の場が広がりました。
当院でも上部および下部の内視鏡検査および処置を施行する際のスコープや周辺機器の準備、検査治療の介助、内視鏡関連機器の管理をしています。
その他、ERCPなど胆道・膵管に関わる治療にも対応しています。

高気圧酸素療法

2019年5月より導入し、脳・脊髄疾患を中心にイレウスや悪性腫瘍など幅広い疾患を対象とし、1日に3~5例の治療を施行しています。またスポーツ外傷などの自由診療にも対応しています。

呼吸療法サポートチーム(RST)の参画

院内の人工呼吸器療法の安全性の向上と適切な治療の提供を目的に、他職種連携による呼吸療法サポートチームに参画しています。
週に1度、医師・看護師・理学療法士・臨床検査技師・臨床工学技士の5職種でカンファレンスと回診を行っています。 各職種の人工呼吸に対する相互理解を深める環境が継続されことにより、院内全体の呼吸療法スキルのボトムアップが図られるとの考えから、コストに関係なく、可能な限りの人工呼吸器装着患者を対象としています。 さらにチームメンバーに関係なく、職員の誰もがいつでも参加できるように門戸を大きく開いています。
その他の活動として、院内統一マニュアルを作成し、それに基づいた勉強会の開催を積極的に行っています。
日本呼吸療法学会と日本呼吸ケア・リハビリテーション学会合同によるRSTとして認定されています。

患者移送業務

循環器系の疾患が疑われる患者および人工呼吸器もしくは補助循環装置の装着が必要と思われる患者の搬送搬入時は救急車に同乗し、患者および機器の管理を行っています。
臨床工学技士が同乗することにより、機器管理等の安全性向上に寄与するだけでなく、患者状態の把握と伝達を早急に行い、到着前からの検査および処置の準備を可能としています。

カンファレンスおよび部署内勉強会

業務上において疑問となった事柄、周知したい症例や経過報告、最近知り得た知識などを議題として、毎朝にミニ症例検討会を行っています。知識の向上だけでなくプレゼンテーション技術の上達をも期待しています。
また業務終了後の部署内勉強会も活発に行い、レベルアップと知識の共有を図っています。

実績

  2019年 2018年 2017年 2016年 2015年
人工心肺症例数 75 83 75 118 159
ECMO症例数 10 14 10 15 34
IABP症例数 15 30 17 29 44
CAG症例数 71 105 120 230 217
PCI症例数 616 292 149 274 440
PMI等 その他カテ症例数 97 61 45 70 168
特殊血液浄化(のべ日数) 466 251 315 653 802
上部内視鏡検査件数 3263 2967 2026 2271 1984
下部内視鏡検査件数 695 610 635 579 630
内視鏡的処置件数 514 287 282 316 248
ME機器日常点検件数 8765 7355 4700 1965 1541
高気圧酸素治療件数 513

取得認定士 等

  • ・呼吸療法認定士 2名
  • ・透析技術認定士 3名
  • ・体外循環技術認定士3名
  • ・心血管インターベンション技師 1名
  • ・心電図検定2級 1名
  • ・第1種ME技術 1名
  • ・第2種ME技術 14名