研究活動

再生医学研究部

概要
1. 皮膚組織再生

ヒトの皮膚は体の中で一番大きな器官で、外界に対する障壁として病原菌や乾燥から身を守ったり、体温を調節したりする役割があります。ふだんは細胞分裂が繰り返され、どんどん新しい細胞に入れ替わっていますが、ケガや火傷(やけど)、糖尿病性潰瘍などで表皮の下の真皮まで大きく失ってしまうと、機能的な皮膚が再生されなくなります。一方で、両生類のイモリなど再生能力の高い生物では、手足を切断してもすぐに傷口が特別な皮膚で覆われ、やがて手足が伸びて元どおりになります(エピモルフィック再生)。わたしたちは、このような生物の優れた再生能力の秘密を探って、ヒトの皮膚の再生に役立てたいと考えています。

2. ヒトと細菌の共生関係と感染症

水中で泳ぐことは人々にとって楽しいことかもしれませんが、細菌にとってこれは何を意味するのでしょうか? 細菌の「水泳、swimming」とは、菌体の外側に生えているべん毛を使って運動することを表す専門用語です。私達は、食中毒の原因菌の一つであるEscherichia albertii が、1) 低浸透圧環境を感知してべん毛を生やし水泳能力を獲得すること、2) べん毛が生えた菌は宿主であるヒトの腸管上皮細胞に隠れることにより、抗生物質の殺菌作用から逃れられることを発見しました。低浸透圧によるべん毛新生と運動制御は、広い細菌界全体で初の報告となり、重要な発見です。低浸透圧の感知システムを調べて、べん毛による病原性強化の仕組みを明らかにしたいと考えています。

発表論文

Ikeda T, Shinagawa T, Ito T, Ohno Y, Kubo A, Nishi J, Gotoh Y, Ogura Y, Ooka T, Hayashi T.
Hypoosmotic stress induces flagellar biosynthesis and swimming motility in Escherichia albertii
Commus Biol. 2020 Feb 28;3(1):87. doi: 10.1038/s42003-020-0816-5.
https://www.nature.com/articles/s42003-020-0816-5
表題:低浸透圧が Escherichia albertii のべん毛新生と運動性を誘導する

論文紹介記事

Nature Research Microbiology Community
Shinagawa T.
Behaind the paper: Sensing low osmotic pressure to produce flagella
https://naturemicrobiologycommunity.nature.com/users/357182-toshie-shinagawa/posts/60367-sensing-low-osmotic-pressure-to-generate-flagella
論文の舞台裏:低浸透圧を感知してべん毛産生

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