ごあいさつ

院長の挨拶

 研究所は2016年9月に完成しました。徳洲会入職前の病院である大阪府立成人病センター(現大阪国際がんセンター)では、22年間臨床をしながら研究をしていました。その頃研究成果を1年に1回海外の癌学会で發表していると、医者としての世界が広がり、充実した医者人生がおくれているていると感じていました。従って、研究と臨床が両立できる病院が理想的と考えていました。しかし、現実には基礎研究ができる研究所を併設した病院は極めて少なく、臨床しながら研究という環境は得難い状況です。徳洲会病院に入職して6年間ほどは前病院の研究所に通いましたが、院長になってからはそれが不能になりました。

 徳洲会病院に入職して”徳洲会は救急だけやっていればいい”という世間、大学病院、医師会の先生方の評価を受ける事を多く経験しました。そんな徳洲会病院の立ち位置に唖然とし、落胆したことを覚えています。しかし、実際は全国徳洲会病院は高度な設備を備え、がん医療も積極的に行い、その他にも優秀な医師が多く働いており、臨床的に申し分ない医療を行っているにも関わらず過少評価に甘んじていることを知ったのです。正直、救急医療は言うにおよばず、日本の僻地、離島医療への貢献は多大で、徳洲会が収益が出ないという理由から離島・僻地医療から手を引けば、日本の医療は混乱に陥るのは言うまでもありません。残念なことに数年前に政治がらみの問題で徳田ファミリーがマスメディアを騒がす事がありその評価は更に低下してしまいました。現在は徳洲会医療グループは、徳田ファミリーとの関係はなくなり、純粋の医療グループになっていますが、その後遺症は残っています。このような状況から脱却し、正当な評価を得る手段の一つとして医学の根底を成すscienceの世界に徳洲会も参加していると言う状況が必要なのではと考えました。

 その他には、医師の初期研修医制度が出来てから卒後すぐに臨床研修に従事し、2年後は後期研修に入り、専門医の収得に邁進して基礎研究に触れ合う事が少なくなっています。そのために基礎研究に従事する若者が少なくなり、外国留学する数も近隣のアジアの諸国に比べて極端に少なくなっている現実があります。また、一定の基礎研究期間後に臨床に戻ったら研究するチャンスが失われるという現状があります。このような現状は、日本の医学の将来が危惧されるのです。また、研修医のresearch mindの無さが気になっています。臨床における疑問にぶつかればこれに対する研究心が重要で、このような姿勢が医学の将来を導くからです。これらの事情から働きながら研究できる病院があれば、生活費の心配なく研究に従事できると考えた次第です。勿論、研究所専属の研究者も受け入れ、若き研究者の育成も重要な課題と考えています。研究内容については、病院に付属した研究所であり、研究の為の研究のようなテーマは受け入れられなく、臨床に結びつく研究のみ行なっていただきたいと思います。多くの優秀な研究者とともに若き大学院の生徒も参集していただきました。今後の成果に期待されるところです。

野崎徳洲会病院院長
中川 秀光