周産期疾患研究部
研究概要
胎盤形成での絨毛膜外栄養膜細胞(EVT)浸潤メカニズムの解明をテーマに研究をおこなっています。
胎盤は胎児のEVTが、母体の脱落膜や子宮筋層へ侵入することで作られていきます。うまく胎盤が作られない場合、母体が酸素や栄養を無理に流したりすることで血圧が上がり妊娠高血圧症候群が発症すると考えられています。
妊娠高血圧症候群は妊娠中毒症と呼ばれていた日本の妊婦さんの約10%でおこる疾患です。胎児は酸素や栄養が十分与えられず胎児発育不全や機能不全をおこしたり、母体も肝臓や腎臓の機能障害、脳出血、子癇と呼ばれるけいれん発作をおこすなどし、母子ともに亡くなる場合もある疾患です。妊娠高血圧症候群を発症すると血圧を下げる薬などでの対処療法がおこなわれていますが、分娩することが唯一の治療法のため児は低出生体重で早産出産になることもあります。
胎盤が適切に作られることが妊娠、出産において非常に重要ですが、EVTの侵入が調節されるメカニズムは完全には解明されていません。研究成果により妊婦さんへの投薬で胎盤の状態を良くするような根本治療につながればと思い、日々研究をおこなっています。
疾患に関しての詳しい説明は
日本産科婦人科学会(https://www.jsog.or.jp/citizen/5704/)や
日本妊娠高血圧学会(https://www.jsshp.jp/patient/)
のホームページをご覧ください。