プレスリリース
線維化抑制剤による骨肉腫肺転移抑制~骨肉腫に対する新規治療法の開発~
2022.04.28
概要
有効な肺転移抑制療法が確立されていないために、骨肉腫は30年間も患者予後が改善していません。乳がんや肺がんなど上皮系腫瘍では分子標的薬によって予後が大きく改善していますが、骨肉腫では有用な分子標的薬が発見されていません。そこで本研究では、骨肉腫細胞そのものではなく腫瘍周囲環境を標的として、転移抑制を試みました。
骨肉腫の特徴は、乳がんなど上皮系腫瘍と比べて、腫瘍細胞の足場となる線維が豊富で硬い骨組織を原発巣とすることです。転移先臓器である肺は骨に比べて軟らかく線維も少ない環境です。そのため、肺で増殖するためには、乳がんなどと比較してより多くの線維が必要になると推測されます。今回の研究では、骨肉腫の肺転移巣は高度に線維化が進行していることが、臨床サンプルと動物実験で確認されました。転移性の骨肉腫細胞は、軟らかい環境で足場となる線維量に依存して増殖することが分かりました。動物実験で、線維化抑制剤によって骨肉腫の肺転移を抑制することができました。本研究の結果は、骨肉腫の新たな治療法開発に繋がることが期待できます。
この研究の成果は2022年4月7日に医学論文雑誌「International Journal of Cancer」(http://doi.org/10.1002/ijc.34008)にオンライン掲載されました。
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線維化抑制剤による骨肉腫肺転移抑制 ~骨肉腫に対する新規治療法の開発~
発表論文
掲載雑誌 | International Journal of Cancer |
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論文題目 | Lung fibrosis is a novel therapeutic target to suppress lung metastasis of osteosarcoma |
著者 | Yoshihiro Yui, Jun Kumai, Kenta Watanabe, Toru Wakamatsu, Satoru Sasagawa |
DOI | doi:10.1002/ijc.34008 |
URL | https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ijc.34008 |